06ももちの世界
撮影:松田ミネタカ
ももちの世界 #5『ハルカのすべて』
本作『ハルカのすべて』で、私は都市の「音」を舞台上に載せたいと思っています。
普段、我々は周囲の音を無意識に選別しています。車の音、電車の音、洗濯機の音、鳥の鳴き声等、毎日のように鳴っているはずの音を実は我々は全く聞いていません。
今回は、それらの「音」を見逃していると仮定します。見逃された音を拾い上げる事で我々の日常を全く別の形で持って提示できればと思っています。
主人公はハルカです。ハルカは都市を歩きます。そして都市によって奏でられた音がハルカの心象風景を描き出します。
ハルカはまた我々の鏡でもあります。都市の音がハルカの身体で反射し、世界(我々)を変えていく、そんな作品をお見せできればと思います。
(ももちの世界・ピンク地底人3号の言葉)
私たちを取り巻く厳しい社会の現実にも
果敢に筆を向けていく、たくましき新鋭。
ピンク地底人3号。このペンネームから面白おかしい芝居を想像したら、予想外の衝撃を受けることになるだろう。最近若い表現者が、自分の身近な関係性だけに焦点を当てがちなのに対し、ピンク地底人3号はさらにそこに、差別や紛争などの世界にはびこる大きな現実をも取り込む。しかも神的な目線ではなく、虐げられる側──彼の名前通り、地を這う者たちの目線で世界をとらえようとしているのだ。前作『鎖骨に天使が眠っている』が「第23回劇作家協会新人戯曲賞」を、審査員の満場一致に近い形で受賞したのも納得の、期待の骨太作家だ。
text by 吉永 美和子
劇評
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照明を絞った暗い、簡素な舞台。中央には椅子代わりの立方体が数個。舞台奥と上手、下手の三方の壁沿いにスタンドマイクが数本ずつ並ぶ・・・
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