07プロトテアトル
撮影:アラキハルカ(MockMops)
プロトテアトル 第九回本公演
『Ⅹ Ⅹ』
「あなたが光である限り、私は闇である。」
プロトテアトル史上最大人数で描く本作は、光と闇が交錯する、架空の街を舞台に繰り広げられる追憶の劇。
山を隔てた隣町では、近く大きなお祭りが行われるらしい。そのためこの街では人が少くなってきている。
青年は、どこにでもいるようなごく普通の人間だった。 恋をしたり、幸せを夢見たり、希望を持っていた。 街の中で起きたある事件をきっかけに、青年は変わっていく。
彼から延びた影は、ただただ光へと向かい突っ走る。
過去の記憶は、私たちの今と未来を映し出す。
辛口のノスタルジーを“借景”に描く世界。
現代社会や未来に抱く気持ちは、その人の年齢や現状によって千差万別だ。しかし過去を「懐かしい」と感じる気持ちは、老人も若者も、女性も男性もあまり大差がないように思える。プロトテアトルは、その“万人に共通する気持ち”を、意図的に演劇に生かそうとしている集団だ。とはいえ決して甘い思い出を噛みしめ合うのではなく、むしろ記憶のすれ違いや隠しごとからシビアな事実を呼び起こし、それをいかに現代と未来につなげるか? を問いかける。若さに似合わぬビター&ドライなノスタルジーが、今後いかに熟成していくかに期待したい。
text by 吉永 美和子
※プロフィール写真クレジット 撮影:河西沙織(壱劇屋)
劇評
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