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ART LEAP 2019|作品制作のための神戸滞在レポート(11月)

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  • 2020.2.27
  • Text: 文・写真 美術アシスタント 中川

ART LEAP 2019

神戸アートビレッジセンター(以下、KAVC)では、2018年より30代から40代の芸術家を対象とした公募プログラム「ART LEAP」を実施しています。
「ART LEAP」は、新たな表現の創造と意欲的な挑戦の舞台とし、経験を積んだ作家にとってステップアップの機会とすることを目指しています。また「ART LEAP」は、作家とKAVCスタッフが密に連携しながら展覧会を創り上げていくことが特徴です。
ここでは、2020年2月の展覧会までの制作過程をレポートで記録していきます。

前回のミーティングを踏まえ、作品制作の一環のため再び神戸に滞在していた潘さん。今回の滞在は、作品に使用する素材を収集することが目的です。また、広報物デザインについて、デザイナーとミーティングを行いました。

11月14日(木)

この日は、9月のリサーチ初日に訪れた東山商店街へ。前回のレポートで少し触れましたが、リサーチのための滞在の際から、道に積まれている段ボールに注目していた潘さん。実際に、段ボールを作品の素材として使用したいとのことで、東山商店街まで段ボールを集めに行きました。

東山商店街や段ボールは、一見テーマとのつながりが見えにくいかもしれません。ですが、物を運ぶ用途で使用される段ボールは、「ART LEAP 2019」のテーマであり、潘さんの作家活動のテーマにも繋がる「移動」と深い関係があります。

東山商店街は、「神戸の台所」とも呼ばれ、八百屋や魚屋、花屋や酒屋など多くの店で盛り上がっており、様々な産地の商品、そして段ボールが集まっています。

段ボール収集の後は、初めてのデザインミーティングです。
今回、チラシ・ポスターのデザインを担当して下さるのは、神戸を拠点に活動されている神崎奈津子さん。(http://kanzakinatsuko.com/

今回のミーティングでは、デザイナーとの顔合わせをはじめ、展覧会の全体的な雰囲気の説明や、9月のリサーチの話、潘さんの過去作品についてなど、かなりボリュームのあるミーティングとなりました。
展覧会の説明を一からする機会はなかなかないので、現状を客観視できる良い機会でもありました。

11月15日(金)

2日目は、長田方面へ。リサーチの際から何度も訪れている長田では、2件の靴工場にご協力いただき、作品に使用する素材を集めに行きました。

今回訪れた靴工場は、9月にリサーチで訪れた「株式会社ベル」さんと、「FMわぃわぃ」の金千秋さんにご紹介いただいた「MAY加工所」さん。

長田の街はとても印象深く、今回の作品にも大きな影響を与えています。

ご協力いただいた靴工場は、当初は靴工場があることも知らないまま、リサーチをするなかで人づてにご紹介いただきたどり着いた場所です。リサーチに何度も足を運んだ結果のつながりであるからこそ、靴工場の様子は作品に直結する印象深いものになったのではないでしょうか。

工場の様子を撮影する潘さん。

今回は2日間という短い滞在でしたが、潘さんと再び同じ場所を訪れることで、KAVCのスタッフとしても、展覧会の雰囲気やイメージなどのすり合わせをうまくできた良い時間だったと思います。

ご協力頂いた皆様、ありがとうございました!

作品の素材が集まり、これからより深く制作に入っていきます。引き続き、展覧会へ向けての活動をレポートしていきます。

(文・写真 美術アシスタント 中川)