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ニューあそび場の創造 2023年10月 『メトロとひろばでシルクスクリーン!』

メトロこうべのシルクスクリーン壁画公開制作を見学してみた

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  • 2023.11.25
  • Text: 岸本紗和(アシスタント)

10月のニューあそび場の創造「メトロとひろばでシルクスクリーン!」の企画のひとつ「メトロこうべシルクスクリーン公開制作&壁画展示」。こちらの企画では、アーティストのmannaさんと、おすし@コバヤシさんに、「カタチプリント」という印刷方法を使って、メトロこうべの地下道で壁画を公開制作していただきました。

「カタチプリント」とは、かんたんなカタチでも組み合わせたり重ねたりすることで、動物になったり乗り物になったり。アイデア次第で色々な絵がつくれる印刷方法のことです。

今回の協力アーティスト、mannaさん(上の写真で、黄色のツナギを着られている方)はイラストレーター兼グラフィックデザイナーとして活動されています。神戸・塩屋を中心に、お店のロゴやフライヤーなどを手がけ、イラストやデザインの他にも印刷、掃除、木を切る、壁を塗る、販売、接客、撮影など・・・なんでも屋さんと化しているみたいです。実は、KAVC(神戸アートビレッジセンター)時代のスタッフとして、現:新開地アートひろばに勤務されていたことがあり、ご飯は3食きっちり召し上がる派。昔からオレンジ色があまり好きではなく、黄色が大好き。作業中も黄色へのこだわりを語られていました。

もう1人のアーティスト、おすし@コバヤシさん(上の写真で、半袖のTシャツを着られている方)は、「地域密着型クリエイター」として個人でイラストレーターのお仕事をされていますが、旅する中で出逢った人たちと、イラスト・似顔絵や手刷り印刷といったモノづくりをしながら、各地でシルクスクリーンのワークショップを行うなど、色々な活動をされているそうです。以前は、小学校の先生、アパレルショップの店員、レトロ印刷のスタッフなど・・・様々なお仕事をされていました。

また、今回は株式会社JAM(レトロ印刷・SURIMSCCA)さんにもご協力いただいています。株式会社JAMさんは、シルクスクリーンやリソグラフ(シルクスクリーン印刷と同じ孔版印刷の高速デジタル印刷機)といった孔版印刷に特化し、「『遊ぶ』って、おもしろい」をコンセプトに印刷の作業場やウェブショップの運営などを手がける大阪の印刷会社です。版ズレ、かすれ、色ムラ、混色、インク落ち。そこから生まれる独特な風合いを、一般の印刷物では出せない魅力として強みにされています。

シルクスクリーン公開制作&壁画展示の舞台は、メトロこうべ。高速神戸駅から新開地駅をつなぐ地下街で、どこか懐かしい居酒屋、人気のお惣菜店、市内最大級の卓球場など、親しみやすいお店が軒を連ねます。2022年3月には約30年ぶりのリニューアルを実施されました。2023年10月13日には、「憩いの場」の設備が完成しました。こちらには、プロジェクターが設置してあり、近隣映画館の予告編映像等が上映されています。また、本棚も設置され、どなたでも幼児~小学生向けの絵本約20冊が読めるようになりました。

シルクスクリーンとは、子どもから大人までが楽しむことのできる、シンプルながら奥が深い印刷技法です。孔(あな)のあいた部分からインクを刷り落とす孔版(こうはん)印刷の仕組みは、見た目もわかりやすく“手作り感覚”で、はじめての方でも簡単に印刷することが出来ます。

ここで、シルクスクリーン印刷の方法をお伝えします。まず、インクをインクヘラで版の端に置き、版を印刷したい位置に合わせます。次に、スキージーと呼ばれる、ヘラでインクを落せば完成です。シルクスクリーンの版には、孔(あな)が開いているところとそうではないところがあり、孔の開いたところにのみインクを落とすことによって、形ができあがる仕組みになっています。私は、この際の力加減などにより発生する、インクの‘‘にじみ’‘や‘‘かすれ’‘が味になる、というのがシルクスクリーン1番の魅力だと思っています。今回は、壁に印刷を行いましたが、紙や布、木など印刷する素材によっても雰囲気が変わるそうです。

 その後、版から残ったインクを戻し、版を洗剤で洗い、水分を拭きとれば、もう一度使えるようになります。

この作業を何度も繰り返し行うことで、壁画を制作していきます。料理のように、こまめに片づけを行い、作業を効率的にするのが制作のポイント、だとおすしさんに教えていただきました。

「メトロこうべ」と「新開地アートひろば」の文字も丁寧に印刷していきます・・・。

今回完成した壁画は、神戸市内のエリアと季節ごとに分かれています。春は、須磨区などの西方面。夏は、兵庫区・長田区。秋は中央区。冬は東灘区・灘区などの東方面。上側は六甲で、下側は海・・・。今回使用した版の形を並べた面もあります。「メトロとひろばでシルクスクリーン!」の文字の面は、mannaさんとおすしさんのサイン入り。

10月のニューあそび場の創造「メトロとひろばでシルクスクリーン!」の企画のひとつ「メトロこうべシルクスクリーン公開制作&壁画展示」。今回の企画は、地域の方々がアート作品に触れる機会を創るとともに、作る楽しさやシルクスクリーンの魅力を伝える取り組みとして、メトロこうべで壁画公開制作を行いました。シルクスクリーンの魅力はなんといっても、デジタルにはない‘’味‘’があるところです。使うインクや道具の種類によって仕上がりが変わったり、インクや道具の種類が同じでも刷り手によって仕上がりが変わったりします。当館では、今後も工房の一般開放のほか、ワークショップの開催、近隣施設との連携プログラム、アーティストとの協働制作など、シルクスクリーン技法の普及活動にも取り組んでまいります。

 また、シルクスクリーン制作をしてみたいと思われた方は、新開地アートひろばのアトリエでも、シルクスクリーン制作を行っていただけます。スクリーン枠やインク、露光機、洗い場といった、制作に必要な設備や道具を備えていますので、初心者から経験者まで、利用者それぞれの創作活動に合わせた制作が可能です。一般開放日にご利用いただくには、事前のご予約が必要です。ホームページで詳細を確認していただき、ぜひお越しください。スタッフ一同、お待ちしております。

新開地アートひろば シルクスクリーン工房(アトリエ)の詳細はこちら

ご協力いただいた皆さま、誠にありがとうございました!