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ニューあそび場の創造2024年2月「ライトシティー」

劇団安住の地による展示企画「安住の日々『Hello! my name is “Who are you?”』」

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  • 2024.3.31
  • Text: ニューあそび場の創造「ライトシティー」担当スタッフ・岸本

ニューあそび場の創造2024年2月「ライトシティー」では、京都を拠点に活動している劇団/アーティストグループである安住の地を招きました。本企画のテーマは「街に馴染む」です。安住の地劇団員が、来場者参加型の展示空間を創り上げ、新作の演劇作品「あかり。」を発表し、「ライトシティーの住人たち」となり5つの関連イベントを企画しました。

安住の地について

そのひとつ、展示企画「安住の日々『Hello! my name is “Who are you?”』」。 創り上げたのは、劇団「安住の地」。ここで「なぜ劇団員が展示企画を?」と疑問に思われた方もいるかもしれません。理由は、安住の地が、複数の作家と多ジャンルで活動する俳優が集った、“アーティストグループ”でもあるからです。演劇を主軸に置きながらも、音楽・写真・映像・ファッションと様々なジャンルで活動されていて、空間を創造することに長けています。

ようこそ!ライトシティーへ

展示内容をご紹介します。まず、B1ギャラリーに向かう階段の踊り場には、「街の中の私、私の中の街」という展示がありました。こちらには、安住の地劇団員の出身地、その街にまつわるエピソードや、自分が街にいて感じたことなどが書かれています。

そして、ギャラリー内に入るとまず目に入るのは、安住の地が今まで行ってきた演劇公演の写真とチラシのデザイン。さらに奥には、「どうも!こんにちは。ライトシティーの町長です。本日はようこそ!この街にお越しくださいました。魅力溢れるこの街を是非ゆっくりお過ごしください。」から始まるライトシティー町長のありがたきお言葉が・・・。

置ける!

少し進むと「置ける!」という文字がみえてきます。こちらは、あらかじめ劇団員が用意したキャプションに沿って、来場者が、持ってきたモノを置くことのできるスペースです。「これの生産で主に経済が回っています」「パン屋のおまけ」「セールで30円になっているもの」「この街の自販機で買えます」などたくさんのキャプションが用意されていました。

動かせる!!

さらに進むと、次は「動かせる‼」の文字。こちらの展示は、本日のテーマに沿って来場者に展示物を動かしていただくものです。自分がモノを動かし、展示に影響を及ぼすことで、本企画のテーマ「街に馴染む」を体験できます。こちらの展示物は演劇公演「あかり。」の舞台セットにも使われました。

貼れる!?

その奥には「貼れる⁉」の文字。こちらは、ライトシティー特製ステッカーに自分の好きなもの、思っていること、気になるもの、場所の名前などを書いて貼ってもらえるスペースです。

ラジオ放送「まちラジ!!」

また、こちらの展示内では3つの関連企画が同時開催されていました。1つ目の企画は、ラジオ放送「まちラジ‼」。架空のラジオ番組の放送が、お昼の12時になると毎日違う内容で、スピーカーを通して展示空間内に響き渡ります。担当は沢柳優大さん。トークテーマの「あなたが過ごす街」について、DJ沢柳さんとゲストの皆さまが会話を繰り広げます。その内容は現実のようで、どこか虚構のよう。聞く人の過ごす街、訪れた街、生まれた街に思いを馳せてもらう時間を提供していただきました。

衣裳展示「衣裳図鑑」

2つ目の関連企画は、衣裳展示「衣裳図鑑」。過去に俳優の皆さまが舞台で着用した衣装が展示されています。その衣装を見て、来場者の方に衣装デザインを描いてもらう企画です。担当者はJUNKO OHIRAさん。安住の地に所属され、舞台衣裳を制作されている方です。

写真展示「残燈」

3つ目の企画は、写真展示『残燈』。担当者は、沢栁優大さん、篁怜さん、山下裕英さん。メーキャップアーティストとカメラマンにもなれる俳優が所属している、という他の劇団にはない強みを活かした作品です。タイトルの「残燈」とは、朝を待つ街の中でぼんやりと残る灯火。メイクを纏った人間の姿のその奥に一体何が見えるのでしょうか。

最後に・・・

今回の展示は、演劇公演の舞台美術を駆使した新しい展覧会のカタチで、来場者の皆さまに「馴染む」過程を追体験しながら “あたらしい場所”を作っていただきました。劇団でありながらも、展示企画にも挑戦し、1か月間の大型企画を乗り切った安住の地。今後の活躍にもどうぞご期待ください!

ご来場、ご協力いただいた皆さま、誠にありがとうございます!