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若手芸術家支援企画2020「ピンボケの影像」|勝木有香インタビュー

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  • 2020.11.1

若手芸術家支援企画2020「ピンボケの影像」の開催を控え、出展作家の大八木夏生と勝木有香に自身の制作活動や展覧会に向けての抱負などを答えていただきました。
今回は勝木有香のインタビューをお届けします。

Q.制作活動をはじめたきっかけはなんですか?

小さい頃から人とは違うものが好きで、なかでも手足の長いものやカエルが好きでした。また、何かを見ながら描くことが好きで、ずっと絵を描いていました。中学生の頃は絵本作家になりたいと思っていたのですが、文章や物語を作ることは苦手だなと思っていて。「それなら絵だけでいいやん」と思い、高校生のときに美術部に入りました。
美術部に入ってからは、先輩が制作していた木版画の作品に興味を持ち、版画を制作し始めました。最初の頃は何をしたらよいのか全然わからず、顧問の先生に「描きたいから」描いた作品を見せても、制作に進む許可をもらえませんでした。そんな状況のなか、美術室にあったジョルジュ・ブラック(Georges Braque)の作品の模写を見て「うわっ!」となって。芸術作品をちゃんと見た感じがしたのを覚えています。そこから、ブラックの作品を筆頭にキュビズムから影響を受け、好きだったカエルをコラージュした作品を制作していました。
大学に入ってからもカエルをモチーフに版画を専攻して制作を続けていたのですが、合評を重ねることで「なぜカエルのモチーフなのか」ということを見直すタイミングがあって。最初は質感、皮膚が好きなのかと思い、カエルのスケッチをしていたのですが、だんだん気持ち悪いと思うようになって(笑)着眼点をカエルの静止画ではなく動画に変換したときに、座っている一つの塊が、泳いだりジャンプする瞬間にびよんと伸びる、その形の変化が面白いことに気がつきました。そこから、カエルだけでなく、いろんな動きを見ていくようになり、今の制作に至ります。

Q.影響を受けた人はいますか?

フランシス・ベーコン(Francis Bacon)です。合評の際、先生に勧められて画集をみたのですが、背景は単色でフラットに塗っているのに、中に描かれている人物はわっと動いているような筆跡で描かれている様子に、そこでもがいているような印象を受けて。苦しさに共感できる部分があり、とても衝撃を受けました。ベーコンから勢いや動き、筆跡の影響を受け、ドローイングを始めました。
彫刻家のトニー・クラッグ(Tony Cragg)の作品からは、硬いものの中に柔らかさを感じる部分に、私の表現したい「動きの特徴」があり、すごく良いと思っています。
また、アニメーションを使用する制作は、著作権の問題などですごく抵抗があったのですが、アルトゥーロ・エレーラ(Arturo Herrera)の作品をみたとき、アニメーションを結構大胆に使っている!と思って。この作家からはアニメーションだけでなく、展示方法なども参考にしています。壁を大胆に使った展示方法もこの作家の影響です。

Q.今回一緒に展示をする大八木さんの作品や大八木さん自身について、どう思いますか?

大八木さんの作品はシルクスクリーンの性質をすごく上手く使っているなと思いました。シルクスクリーンモノタイプの作品では、ドローイングしたものを何度も刷っているけど毎回できるものは違う、そこを狙ってやっているのが私の中で新しい発見だったし、勉強になりました。
あと、私は制作時、「作品にしなきゃ」と構えがちで、しっかりと画面構成などを決めて、一度完成させたものを再生するイメージでシルクスクリーンに落としているのですが、大八木さんの場合は、画面の中で作っていっている感じがします。私もシルクスクリーンにするまでのドローイングが楽しいのですが、そのわくわくさをそのまま作品に落としている感じが私にはない部分で羨ましいです。私は真面目になりすぎるから、私にないところがあっていいなあと思っています。

Q.展覧会の抱負

新開地のあたたかくて、わいわいした雰囲気は、私と大八木さんの作品にも共通しており、新開地やKAVCに合う作品だと思っています。また、私の作品のテーマの「動き」のイメージと重なるところもあります。新開地の街の、壁や看板、人たちといった、様々なところに視点が移るような感覚を、今回の作品と展示で再現できればと思っています。

Q.これからどのように作家活動を続けていきたいですか?

今は、大学で制作をして、たまに関西で展示をしているのですが、最近はいろんな人にみてもらっていると実感しています。「自分の作品が海外だったらどうみられるのか」「現代アートの文脈ではどうなのか」「世間からみたときにどう影響をしているのか」のように、自分の作品がどこまで広がっていけるのか興味があるので、常に発表はしていたいです。今は工房が使えるからシルクスリーンを突き詰めてやっていますが、シルクスクリーンをずっと続けていくかもわからないし、アニメーションを使って制作し続けるかもわかりません。自分が納得しないと次に進めないという性格でもあるので、いろいろ模索しながらやっていきたいです。

(2020年9月16日収録)

大八木夏生のインタビューはこちら

《展覧会情報》
若手芸術家支援企画2020「ピンボケの影像」
出展作家|大八木夏生、勝木有香
会期|2020年11月5日(木)-11月19日(木)12:00-19:00 火曜日休館
会場|神戸アートビレッジセンター(1F・KAVCギャラリー、コミュニティスペース1room)
料金|入場無料