“関西小劇場” というジャンルがある。時代によってその言葉のイメージは変わり、その代表的な作り手たちも変わってきた(作り手が変わることでイメージが変わってきたと言った方がいいだろう)。今回、僕がこの『KAVC FLAG COMPANY』を立ち上げるにあたって、まず最初に考えたのは2019年の “関西小劇場” を紹介すること。そして第二に “関西小劇場” という枠組がそもそも必要なのかどうかを検証すること。
今回選ばれた7つの団体を見てもらえれば、いま関西で“ホットな”演劇が何かは伝わると思う。どこも集団性にこだわってものをつくり、それらはオリジナルであるとはっきり公言できる。もしかしたらまだ尖った部分が多くて少し呑み込みづらいかもしれないが、それが刺激にもなっている。なにかやらかしそうな匂いがする。キケンな匂い。そういうものが好きな演劇ファンならきっと満足してもらえるラインナップだ。「おお関西の演劇まだまだ面白いなあ」と言ってもらえると信じている。
一方で、この7団体をひとつの枠組みで紹介してしまって良いものか非常に悩んでいる。それぞれがまったく別の方向を向いているように見えるからだ。作品の方向性も集団のあり方も、将来への展望も全然違う。それがとても興味深い。昔は(と言っても僕が関西ではりきって演劇をつくってた時期だからまだ10年も経ってないけど)、どことなく “傾向” があったように思う。その中での切磋琢磨や時には斬り合いみたいなものが “関西小劇場” というジャンルの形成に一役買っていた。ところが今の劇団たちにはその“傾向”を感じない。つまりは僕には想像もつかない「演劇の面白さ」をきっと見つけているのだと思う。それぞれが勝手に。そこにとても興味がある。
できれば全団体の作品を見てもらいたい。(あ、7劇団共通パスポートというものをつくりました。ぜひご利用ください。)
そして、「演劇の面白さ」をたくさん知ってもらえれば嬉しい。ここからはじまる関西とかそれを超えた演劇の潮流を感じてもらえるのではないだろうか。
ぜひ日本全国からも来て欲しいな。そして新開地で遊んで帰ってください。おいしいお店たくさんあります。