多田淳之介(東京デスロック主宰)
合田団地(努力クラブ主宰)
ウォーリー木下(KAVC舞台芸術プログラム・ディレクター)
※ウォーリー木下は東京からオンラインにて参加合田団地: どうもありがとうございました。今回、作演出を担当しました合田団地と申します。よろしくお願いします。ウォーリーさんとネットがつながらないということで場をつないでくださいとのことで、どうしましょう。とりあえず多田さんに出てきてもらいましょうかね。東京デスロックの多田淳之介さんです。
多田淳之介: どうぞよろしくお願いします。この初日を迎えるためにどれだけの苦労があったのか。最近演劇を観るたびにまずそれを考えるというか。演劇をとらえなおす日々というか。
合田団地: 人を集めてこんなことをするっていうこともすごいハードルが高いっていうか。
多田淳之介: でも必要なことだと思いますよ。ちなみに去年はなんか公演しましたか?
合田団地: 去年はコロナが流行る前に1月2月に小さい公演をやっていましたね。
多田淳之介: 僕は努力クラブを観るのは初めてなんですけど、結成は2011年ですよね。二つの大学のサークルが合体したみたいな感じなんですか?
合田団地: 僕が佛教大学っていう大学で、佐々木っていうのが立命館大学の劇団西一風っていう学生劇団で二人とも学生を卒業してからも演劇を続けたかったんですけど、自分たちの学生劇団の仲間に続けたいってやつがいなかったんですよ。それで、組みました。
多田淳之介: そこから仲間が増えてきて?
合田団地: 増えたり減ったりしながら、もうじき10周年ですね。
多田淳之介: うちの劇団も20年なんでリンクするというか。後半10年はあっという間でしたけどね。
合田団地: 20年はすごいですね。できる気がしない。
多田淳之介: 今回は初演ですか?
合田団地: そうです。今回が初演です。
多田淳之介: 西さんていうイケてないおじさん。西さんはだいぶネガティブな存在としてっていうか。最近は弱者っていうか、それまでにイケてないとかマイノリティに押し上げられている立場の人がそんなことないんだよっていう社会になっている気がしていて。
合田団地: でも、そのことはおじさんっていう枠に入っている人はあんまり言われてないと思う。
多田淳之介: 西さんの叫びって全人類共通の叫びだったように思うけど。
合田団地: そうですか?
多田淳之介: 愛されたいわけですよね。そこは誰しも求めていることであって。
合田団地: 愛されたい。ドン!刺されてドン!って感じでしたけど。
多田淳之介: コメディっていうか。コメディをうたっている?僕は笑ってたけど。
合田団地: はい。どう思われるか知らないですけど。
多田淳之介: コメディっていうと面白いものを出すっていうことに問われるっていうか。そういうことは意識するの?
合田団地: ・・・・・・。ニュースとか見てて、人が殺されましたとか、笑ってたやつがいたらそいつとは交じり合わんなって思いますけど、お芝居は基本作り物なんで。僕は心置きなく笑ってしまうというか。本来なら笑ってはいけないものも笑ってしまいますけど。
多田淳之介: 神様が出てくるじゃないですか?神様ってどう思っているんですか?
合田団地: いや、信じてはいないんですけど。嫌なことが積み重なったり、自分ではどうしようもできないときにはじめて神様!神様とはなりますね。コロナが流行る前からもそうですけど、自分ではどうにもできないことがめっちゃ続いてて。神様を許すとか謝るていうことを求めてるっていうか。
多田淳之介: ウォーリーさん、お疲れ様です。
ウォーリー木下: お疲れ様です!聞こえてますか?
多田淳之介: 温めておいたんで司会お願いします!ウォーリーさんは配信みられてたんですよね?
ウォーリー木下: 観てましたよ!もちろん!
多田淳之介: 神様の話をしていたりとか
ウォーリー木下: なるほど。
多田淳之介: セクキャバだったりとか、西さんに対しての救い、救ってんだが落としてんだが。その辺で神様もセクキャバも救いだなって。面白かったですっていうことを。
ウォーリー木下: 配信でも十分伝わっていたともいますよ。カメラワーク良かったし。でも、作品が作品だから一人で観てると重たいよね。。劇場で見てたら隣にお客さんがいるから救われるところがあるけど、あんまり救われなかったわぁ。配信向きじゃないんじゃないかな。
合田団地: 今回のは面白いと思ってるんですけど。
ウォーリー木下: 面白かったよ!この後しばらく寝れない感じにはなると思うけど。どれぐらい計算してるかわからないけど、共感は一切できないんだけど、重たさを感じれるって不思議だなって思った。多田君は共感したの?
多田淳之介: 僕はしましたよ。30代前半のオジサン界への恐怖がすごいある時期。なんだろなって
合田団地: ハラスメントとかもいろいろあって。僕は暇さえあればTwitterを見てるんですけど。やれなんか言われてオジサンが気持ち悪いとか、一回見たら絶対一ツイートは上がってるんで、ちょっとこれになるぞって思った。気を付けないと。
多田淳之介: 気を付けてもなるんだよ。若いころに思っていたオジサン像、つまはじきにあうんじゃないかって感じも思ってたんだけど。実際にオジサンの年齢になってみるとそうでもなかったていう。実はあの人たちは自分なんかよりもすごい評価されていて、自分にないものをすごいもっていて、とか。そう思うとすごい変わったかな。オジサンになったからなんだろうけど。西さんを見てて思ったけど、人が40歳くらいまで生きているってことが奇跡だなって。
合田団地: そうですよね。この状況も含めて。
多田淳之介: でもやっぱり西さんが生まれたことで喜んで愛されたっていうことが僕はしっくりきた。
合田団地: なんかいいこと言うとこって思って。
多田淳之介: 西さんの親の話とか一切出てこないじゃないですか?それもすごい良かったなって思っていて。逆に描かれていくとそこからいろいろとつじつまを合わせていかないとかなって。彼の家庭環境が全く見えないことが想像の余地があって良かったなと。そこをお客さんはどこを信じるかって違うと思うんですけど。僕の場合はそこで彼が生まれたときに喜んでくれた両親がいたんじゃないかとか。家族がいたんじゃないかってことを考えることが出来たので、良かったなって。
合田団地: 彼が生まれたときも生まれたことによって皆が笑顔になってくれていたって思いたいですよね。どんなに悪いやつだったとしても。
多田淳之介: こういうテーマだと、今の子供たちのこととか、愛されたい子供たちのこととか、いくらでもいけそうなテーマではある。これを見て笑うってことでもって思うし。
合田団地: 子供のころはどうにでもできるなって思うんですけど。その救えるチャンスずっと逃し続けてきたらしんどいやろなって思う。
多田淳之介: こういうことになるぞっていう。
合田団地: じゃあ、終わりますか?退館時間があれなもんで・・こんな感じなんですけどアフタートーク終わります。ありがとうございました。